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にくらしいあなたへ。

 ここを見るような人ならもうご存知でしょうが、この件。
 Togetter - 「わかむらP、ニコマスから「撤収」を発表!」

 ふーむ、さて、何から話しましょうかね……

 彼は、いつだって図抜けていました。
 あまりに自然で、完璧に整えられた映像美。それが彼でした。
 2007年~2008年初頭、他のPの多くはシンクロ・カット割・エフェクトといった要素をひたすら尖らせ、目立たせる事で印象的なPVを作り上げていました。
 それに対し彼は、それらの要素をもちろん軽視はせず、むしろきっちり押さえた上で、「トータルの映像美」を追求して勝負していた気がします。特に「抜き」を早くから積極的に使い、違和感無くアイマス映像と合わせ、技術の誇示ではなく演出として常に生かし切っていた点、あまり指摘されませんが大いに賞賛されるべきと今にして思います。
 「どこがすごいのか判らない、でもとにかく素晴らしい」。卓越したバランス感覚、表現の理想形に対する確固たるビジョン、それを実現する技術。全て揃っているからこそ作れる、大した事ないように見えて他の誰にも成し得ないもの。それが彼のPVでした。

 2008年上半期の新作&リメイクプロジェクトで図抜けっぷりは頂点に達し、「できる事はほとんどやり尽くした」感すらあったのもつかの間、七夕革命で大きな枷が取り払われ、彼の能力はフルに発揮される事になります。
 ……が、この頃でしょうか。私がどうにも「違和感」を感じるようになったのは。

 自作背景とエフェクトを駆使し、それこそMTVでそのまま流れてても違和感なさそうな、一般商業PVに伍する完成度の素晴らしいPVの数々。
 が、やっと辿り着いたのが「そこ」か?到達点が「そこ」でいいのだろうか?と。
 「だったら、普通にそこらのアーティストのPV見てりゃいいんじゃないの?」という気がどうしてもしてくるのです。確かに、それをアイマスでやる、という事には大いに意味があるのでしょう。しかしいざそれを実現してしまったら、それは単に一般商業PVと同じ土俵に立てたという、ただそれだけ。間違いなく並んでいるが、超えられてはいない。アイマスなど世間一般にはアウトサイダーなのだから、どうせなら超えてほしい……と願えど、彼の場合作品の方向性からして、どうも超えることは狙っていないように見える。
 もちろんこれは彼個人の個性の問題であって、こういう勝手な期待をするのはお門違いなのでしょう。が、アイマスのポテンシャルを常に限界まで引き出しているフロントマンとして、文字通りの「頂点」としてリスペクトするからこそ、その限界に(勝手に)気付いた時、どうにも無念で、絶望的で、やりきれない気持ちになってしまうのです。

 嗚呼、彼の技術を持ってしても、超えられないのか。
 嗚呼、彼の「本気」がこれであるならば、確かに、超えられそうにないのかも知れない。
 超えるには、彼が持っていないものが必要なのかもしれない。

 そんな訳で、彼と仮の作品に対しては愛憎半ば、もやもやした感情が常にあったのでした。
 だから20選の時にも毎回悩みました。とにかくカドがないんですよ、彼の作品。スムーズで喉越し最高で素晴らしく整えられてる。でもカドがないから引っかからない。後に残らない、心に響かない。だったら落としたいんだけど、どうしても落とせない。だって、彼が作るもの以上のものがどれだけあると言うのでしょう。優劣で言えば明らかに優、しかも最上級であるものを落としていいのか。実際、ウダウダ言いながら十分きっちり楽しんでるじゃないか自分。作品そのものを見ず、作品の方向性に個人的なイチャモンを付けて評価を落とす、それは「受け手」として作品に対して誠実と言えるのか――?
 そんな悶えるような葛藤ももう終わりです。もう悩まなくて済むのですね。
 寂しいものです。

 いずれ、彼の進路として、こういう事になるんじゃないかとは思ってました。「わかむらP」の名義自体がメジャーに進出してMAD撤収、までは予想外でしたが。
 カドを立てず、一片の破綻も無く、完璧に整えられた、誰にでも解りやすく受け入れやすい表現――という彼の志向は、明らかにメジャー向きメジャー志向であると言えます。そもそも、彼のベースになっているのがそうしたメジャー世界の表現なのでしょうね。
 また、七夕革命から二年が過ぎ、360版のDLCも終了し、このところの彼にはやっと、ようやく、「できる事はやり尽くしたし、新たに増えそうにもない」感が漂っていた……気がします。技術的にもP間でノウハウの蓄積と共有が進んだ結果、彼のみが図抜けているという状態ではもはやなくなっています。みんな追いついたのです、彼に。ようやっと。
 彼個人のやる気とか趣味とかそういうのをあえて無視して、「ニコマス発展史」の観点から言えば、2009年一杯の段階で、トップランナーとしての彼の役目は実質的に終わっていたのかも知れません。
 今、そんな気がしています。

 こうして、一つの中心が姿を消し、時代が移り変わろうとしています。
 もちろん面識などありませんが、私の愛するニコマスコミュニティに大きな足跡を残した、大切で、偉大で、敬愛する人です。この三年間、驚き、喜び、悲しみ――いろんなものを彼の作品から感じ取らせていただきました。
 今、万感の想いと敬礼を以って、彼を見送りたいと思います。


 さよなら、わかむらP。
 私は、あなたのMADが、大嫌いで、大好きでした。
 ありがとう。
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